泌尿器科

お知らせ

診療科紹介

森田 写真診療科長
森田 將
当科は、良性疾患を含めた泌尿器疾患全般の診断?治療を行い地域医療の一端を担うとともに、大学附属病院としての専門的医療を行っています。

 近年増加している前立腺がんは、新しいPSA検査であるphi(ファイ)の測定を行い、マルチパラメトリックMRI検査と組み合わせた診断で前立腺生検の必要性を詳細に検討しています。前立腺生検はMRI画像と超音波画像の融合生検を行っており、がんの局在が詳細に判明するほか、がんの検出率も上昇しています。治療に関しては、多様な治療オプションの提供が可能な診療体制です。低侵襲な治療としては、シード治療(密封小線源治療)の症例経験が豊富で、低~高リスクのいずれの症例にも適用しています。また、手術はダ?ヴィンチを使用したロボット支援下前立腺全摘除術を行っています。外部照射も、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、体幹部定位放射線治療(SBRT)を放射線治療科と連携して行っています。放射線治療時には直腸周囲ハイドロゲルスペーサー(SpaceOAR)を留置して直腸を保護していますが、この手技も多くの症例経験があります。

 腎?副腎腫瘍は標準的に腹腔鏡手術を行っています。小径の腎がんはロボット支援下の部分切除術を行っていますが、高齢や耐術能のない方には、ラジオ波焼灼術(RFA)も積極的に行っています。

 また、当科では良性疾患の低侵襲治療や最新治療の早期導入も積極的に行っています。前立腺肥大症には、MISTと呼ばれる新しい手術である前立腺水蒸気治療(Rezum)をすでに多くの症例に行って、良好な治療成績を得ています。また、難治性の過活動膀胱に対する仙骨神経刺激療法(SNM)やボトックス膀胱壁内注入療法も積極的に行っています。尿路結石の内視鏡的レーザー砕石術も当科で件数の多い手術の1つです。
進行がんに対する薬物療法は自科で対応しており、保険収載された薬物治療はほぼ全般に施行可能です。

外来診療では、痛みの少ない軟性膀胱鏡、超音波検査装置、尿流測定器などを備え、いずれも予約待ちすることなく施行可能な診療体制です。

診療体制

当科は7名(日本泌尿器科学会専門医5名?指導医1名)の経験豊富なスタッフで診療しています。
女性医師が1名在籍しています。

診療方針

泌尿器がんの他に、前立腺肥大症?尿路結石?尿路感染症などの良性疾患を含めた泌尿器科疾患全般に幅広く対応しています。
治療に関しては、最新の低侵襲手技の積極的な導入を行っています。
治療に関してはカンファレンスで症例検討を行い、最適と考えられる治療を患者さんと相談の上で決定しています。
また、地域医療圏の泌尿器疾患の患者さんの多様なニーズにお応えすべく、土?日?祝日も外来診察を行っています。

主な対象疾患

尿路性器腫瘍(前立腺がん?膀胱腫瘍?腎腫瘍?副腎腫瘍?精巣腫瘍?陰茎がん)、排尿障害(前立腺肥大症?過活動膀胱?神経因性膀胱)、尿路結石症(腎結石?尿管結石?膀胱結石?尿道結石)、尿路感染症(腎盂腎炎?膀胱炎?精巣上体炎?前立腺炎?尿道炎)、女性泌尿器疾患(腹圧性尿失禁)、小児泌尿器疾患(停留精巣?包茎)、腎不全、ED、LOH 症候群など泌尿器疾患一般

診療内容や特色の詳細

前立腺がんのヨウ素125密封小線源治療(シード治療)は、症例経験が豊富で継続的に多くの患者さんが全国から来院されています。この治療は、2005年に昭和医科大学病院で開始し、2015年以降に当院で行うようになりましたが、約1800例(2025年3月末) に行いました。当院での特徴は、全てのリスクの限局性前立腺がんに適用していることです。低?中リスクには密封小線源単独治療、中?高リスクでは、密封小線源治療と外部照射(IMRT)やホルモン療法との併用療法を行っています。特に、高リスク症例に対するトリモダリティ治療(密封小線源治療+外部照射+ホルモン療法)の治療実績は多く、良好な長期治療成績を得ています。一方で、治療による放射線の有害事象低減にも積極的に取り組んでおり、直腸の有害事象を低減するための直腸周囲ハイドロゲルスペーサーの留置もいち早く導入し、外部照射併用の症例を中心に数多く行っています  (約800例  2025年3月末)。また、密封小線源治療は通常は前立腺全体を治療対象としていますが、高精度生検によって適応があると判断され、かつ患者さんの希望のある場合には、前立腺を部分的に治療する局所密封小線源治療(フォーカルブラキセラピー)も行っています。また、転移性前立腺がんの患者さんにも、転移部位?個数によってはホルモン療法に加えて前立腺局所の放射線治療(外部照射/小線源治療)の併用も行っています。また、進行がんや再発症例の診断には、全身拡散強調MRI(DWIBS)を行い、全身の病巣の正確な把握を行い治療に役立てています。

前立腺癌の手術治療としては、ダ?ヴィンチXiを使用したロボット支援下前立腺全摘除術を積極的に行っています。この手術は、限局性前立腺がんの根治治療としては全国で最も普及した治療法で、がんのある前立腺を摘出するため最終的な病理結果が判明します。また、従来の開腹手術に比べ、出血量が少ないことや尿禁制や性機能温存の面でもメリットがあります。

他にも、泌尿器疾患全般の治療を良悪性問わず幅広く行っています。当院では前立腺肥大症や小径腎がんに対する新しい低侵襲治療を早期に導入しました。
2022年9月から保険適用となった前立腺肥大症の新しい低侵襲治療である前立腺水蒸気治療(Rezum、WAVE治療)はこれまでに約120例(2025年3月末)の施行実績があり、小径腎がんの低侵襲治療であるRFA(ラジオ波焼灼術)は2023年7月より実施しております。従来の治療法では全身麻酔や脊椎麻酔が必要な手術となっていたため、手術時間や入院期間が長く、体への負担が大きくなるデメリットがありました。これらの低侵襲治療では静脈麻酔や局所麻酔で行うことができるため、持病のある方や高齢で全身麻酔が困難な患者さんにも治療を行うことができるようになりました。また、難治性過活動膀胱?神経因性膀胱に対する仙骨神経刺激療法(SNM)やボトックス膀胱壁内注入療法などの良性疾患に対する治療も早期導入し、積極的に行っています。


スタッフ紹介

医師名役職資格
森田 將副院長
診療科長
教授(員外)
医学博士
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医?指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本内分泌学会内分泌代謝科専門医
日本抗加齢医学会専門医
厚生労働省日本DMAT隊員(統括DMAT)
臨床研修指導医
Da Vinci certificate
野口 哲央診療科長補佐
助教
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医
臨床研修指導医
Da Vinci certificate
加藤 良佑助教日本泌尿器科学会泌尿器科専門医
大和屋 仁助教日本泌尿器科学会泌尿器科専門医
臨床研修指導医
渡邊 裕彦
助教
角田 尊
助教日本泌尿器科学会専攻医
専攻医4年次
柳田 倭兵助教
日本泌尿器科学会専攻医
専攻医3年次


外来担当医表

※下記は基本スケジュールです。
 原則、午前は(8:30~13:00)、午後は(13:00~17:00)となります。
 月ごとに診察日の異なる医師もいますので、必ずご確認の上ご来院ください。
 当日の診療等の都合により実際の診療時間とは異なる場合がございます。
 初診?再診は受付時間が異なりますのでこちらをご確認ください。
泌尿器科

医療従事者の方へ

研究内容

  • 高リスク前立腺癌に対するトリモダリティ治療の長期治療成績の検討
  • 中間リスク前立腺癌に対する密封小線源治療+外部照射/短期ホルモン療法の比較検討
  • 密封小線源治療における直腸周囲ハイドロゲルスペーサーの有用性の検討
  • Loose seed/stranded seedの線源迷入の経時的変化に関する検討
  • 前立腺癌微小転移発見におけるDWIBS-MRIの有用性の検討
  • 経尿道的尿管砕石術の有熱性術後感染の予見因子に関する検討
など

診療実績

外来患者数(延べ)
2021年度2022年度2023年度2024年度
10,990名 
11,400名 
10,293名
10,390名

入院患者数(延べ)
2021年度2022年度2023年度2024年度
3,675名
4,050名
3,593名
3,698名

泌尿器科延べ

手術件数(延べ)
2021年度2022年度2023年度2024年度
445件489件433件471件

医療連携?紹介制度について

厚生労働省は医療機関の役割分担を推進しています。各医療機関がそれぞれの機能を生かして連携を行っていくなかで、当院は高度先進的医療を提供する急性期病院としての役割を担っています。
当科は地域内外に関わらず多様な要望に答え、受診しやすく、また患者さんに適切な診断?治療を提供できるようにしたいと考えています。
受診希望のかたは、当院予約センター(03-6204-6489)へお電話で診察予約をお願いいたします。
初診時には、医療機関からの紹介状が必要になりますので必ずご持参ください。
初診受付時間は8時30分?14時です。セカンドオピニオン受診も随時受け付けています。
紹介患者さんは治療を当院で行ったのち、症状が安定したら適宜紹介元の医院?病院に逆紹介させていただきます。